まとまりのないキメラ『OASIS: Tokyo』のプレイ感想。

FPS

東京が舞台のFPSということで、気になってプレイ。本作はローグライク要素を兼ね備えたシングルプレイの脱出型一人称シューター。敵の排除や目標の破壊などの任務をこなしながら、金目のアイテムや使えそうな武器を略奪し、得た報酬金で自身の強化やアイテムの購入を行っていくスタイルのゲームプレイとなります。

脱出系のジャンルながらも毎回ミッションを受注する形式となっており、毎回違う難易度のミッションや自動生成されるステージが特徴的です。敵勢力や人数もミッションによって異なる他、ミッション中に別の勢力が乱入してきて三つ巴の戦いになることもあります。このあたりはローグライクらしさがよく出ており、毎回違ったシチュエーションを味わえるので楽しいです。また、1つのミッションが5分程度で終わるため、脱出系にしては非常にテンポよく遊べます。

グラフィックはシンプルなポリゴン調ですが、ゲームシステムは割と濃密。キャラクターの能力を強化するスキルシステム、『Cyberpunk 2077』を彷彿とさせるサイバネティック要素、武器のカスタマイズ、ハッキングシステム(これだけよく分からなかった)、ショップでのアイテム売買、衣服のカスタマイズなどなど…。見た目のシンプルさとは裏腹に、様々な要素がぎっしり詰め込まれています。

ミッション中は、インベントリ管理が要求されます。バックパックに入れられるアイテム量を考えて行動する必要があるため、高値で売れるものや必要なアイテムを優先して取るようにしなければなりません。また、マガジン管理も必要で、マガジンを使い果たしたら自分で弾薬を詰める作業を行う必要があります。ほかにも、歩く・走るといった動作をするたびに水分ゲージが減るため、こまめに水分を取らなければなりません。このあたりは『Escape From Tarkov』そのままです。

私個人の感想としては、”要素が上手くまとまっていない”と感じました。テンポよくミッションをこなして、キャラクターを強化していくシステムは楽しかったのですが、このゲームがプレイヤーにやらせたいこと、体験させたいことがまとまっていないように感じるのです。

特に『Escape From Tarkov』から強い影響を受けているであろう、ゲームシステムがやや蛇足に思います。せっかくテンポよく遊べるつくりになっているのに、水分ゲージやマガジンの管理といったリアル志向なシステムがそれを邪魔しています。とくに水分ゲージなんて、1ミッションに3回ほど水分補給をしないといけないくらい頻度が多く、これがゲームプレイに大きなストレスを与えています。

『Escape From Tarkov』はリアリティを徹底的に追求するという美学があるため、そういった本来ならストレスにしかならない要素もゲームの魅力になっています。しかし、本作はゲームのグラフィックや全体的なゲームプレイはカジュアルなのに、ゲームシステムだけが無駄にハードコアになっているため、ただただストレスを感じさせる要因になっているのです。

それに東京という大都市にフォーカスを当てた舞台設定にも関わらず、戦利品を漁るような地味な作業はあまりコンセプト的にも合致しているとは思えません。だったら短いゲームテンポで、ひたすら殺しの依頼を受けてキャラを強化していくという、ヒットマン的なコンセプトの方があうと思うのですが。殺しの依頼を受けたプレイヤーがついでにビル内を物色して、リュックをパンパンにして帰るなんてどう考えても変でしょう。そもそもこのゲーム、舞台を東京にする必要が一切ない。あとなんで街並みや武器は現代チックなのに、サイバーウェア要素があるんだって話です。

ゲームとしてはよくできており、細かい点を気にしなければ全然遊べるゲーム。しかし、名作から影響を受けたであろうゲームシステムが乱立しているせいで、ただのまとまりのないキメラゲー感が強いです。

著者一言:MW3が好きすぎて、BO6が発売されるのが憂鬱。

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