「二度と俺らのシマに戻ってくるなよクソ野郎!」とボコられまくって路地裏に捨てられる主人公。満身創痍で、カネもなけりゃ武器すらない。あるのはそこらへんで拾った鉄パイプのみ。一気にドン底に叩き落されたが、あのクソギャングどもを全員埋めてやる…。といったプロットで始まるレトロシューター『Kingpin — Life of Crime』。リリースは1999年で開発は『Redneck Rampage』を手掛けたXatrix Entertainment。『Kingpin: Reloaded』というリマスター版が昨年リリースされていますが、なにやらすこぶる評判が低いので、今回はGOGでオリジナル版を購入し、「mh’s kingpin patch v11.2」をあててプレイ。

よくあるレトロシューターのようなプレイを想定していましたが、予想以上に序盤がハードコアすぎて詰みかけました。最序盤は武器が鉄パイプやバールといった格闘武器のみで、鉄砲なんてまず撃てません。しかも、ステージクリア型のシューターではなく、依頼を受けたり、お金でアイテムを購入したりなど、薄味ながらもRPGのような要素があるため、テキトーに進めていれば武器が手に入るなんて甘っちょろいつくりではないのです。

そのため、最初は路地裏で喧嘩をしたり、アイテムショップのオヤジから依頼を受けながら、武器やお金を集めていきます。ようやくピストルを手に入れたと思っても、ショットガンでボコボコにされるという鬼畜っぷり。果てには回復アイテムなんてほとんど落ちていないため、ごり押しで進めたとしてもどこかで必ず死にます。銃持ちに苦戦するなんて、ギャングとしてなりあがるのも楽じゃない…。

さらには戦闘の難度がかなり高いです。本作は敵の体力が割と高めに設定されているにも関わらず、プレイヤーが攻撃をしても全く怯むことなく攻撃をしてくるため、戦闘時はほぼ必ず体力を削られてしまいます。特に格闘武器やピストルでは敵を一撃で仕留められないため、必ず致命傷をくらいます。それでいて回復アイテムが少ないので、序盤はギリギリの戦いを強いられ、何度もセーブ&ロードを繰り返すことになるでしょう。

序盤こそ死にゲー要素が強いものの、ショットガンを入手してからは少しずつ戦闘が楽しくなってきます。ほんとにキツいのは序盤だけで、段々と装備が整ってきてからはまさにレトロシューターらしい爽快感が味わえます。最初はショットガンを持ったギャングに怯えていたのに、中盤からはトンプソンや火炎放射器、HMGなどを入手して、敵をぶっ倒しまくるというプレイに変化した時の脳汁ドバドバ具合が最高です。

また、QuakeⅡエンジンを使用しているためプレイ感触はQuakeに非常に近く、その手のシューターが好きな方であれば、かなり楽しめると思います。ただ、どんなに装備が整っても体力が削られる前提の難易度調整は健在で、道中にある回復アイテムの位置を覚えたり、アイテムが尽きた時はショップで購入しないと、割と詰むので要注意です。この良くも悪くもハードコアな難易度が、本作の評価を分ける大きなポイントだと思いました。

Quake譲りの気持ちいい操作感や、エグめのゴア表現、雰囲気抜群で遊びやすいレベルデザインなど、往年のシューターのなかでは割と楽しめる部類に入ると思います。ただし、難易度はかなり高いです。Easyを選んでもかなり苦戦しました。回復アイテムを拾い続けることが前提のバランス調整ですので、いつも遊んでいる難易度より低めで遊ぶと楽しめるかもしれません。
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