これは酷い『Call of Duty: Modern Warfare III』のプレイ感想。

FPS

『Call of Duty』20周年という節目に登場したのは、史上最悪のキャンペーンでした。

CoDといえばキャンペーン、映画のような興奮と没入感を体験できるシングルプレイキャンペーンは同シリーズの顔です。これまでに多種多様なキャンペーンが登場し、多くのFPSゲーマーが心を躍らせていました。私もその1人で、今までのオールタイムベストは『Call of Duty: Modern Warfare 2 (2009)』のキャンペーンです。

しかし、2023年新作の『Call of Duty: Modern Warfare III』は最悪の出来でした。かつて『Call of Duty: Black Ops Ⅳ』でキャンペーンが実装されなかった時と同等、むしろそっちの方がマシだったと思えるくらい、今作のキャンペーンには失望しました。

『Call of Duty: Modern Warfare (2019)』

CoDのお家芸であった映画的演出は完全に排除されています。これは『Call of Duty: Modern Warfare (2019)』でのリアリティ路線への変更時から変わった点です。しかし、屋内掃討の場面を始めとする数々のリアリティある描写がCoDのキャンペーンに新たな没入感を生んでいました。

『Call of Duty: Modern Warfare Ⅱ (2022)』

『Call of Duty: Modern Warfare Ⅱ (2022)』からは様々な実験的要素が実装され、良くも悪くも映画的演出やリアリティ描写よりも、ゲーム性に重点を置くような箇所が多々見られるようになります。とはいえ、この時はまだCoDのキャンペーンらしいといえる出来だったと思います。

しかし、今作からはよりゲーム性が重視され「オープンコンバットミッション」という新たな要素がキャンペーンに導入されました。いわば『Far Cry』シリーズのように、好きな箇所から好きな方法で戦える自由度のあるミッションが追加されたということです。スクリプトの多い退屈な1本道シューターから脱し、新たなCoDキャンペーンの可能性を探るという意味では良かったのかもしれません。これが発表された時、私も肯定的な見方をしていました。

オープンコンバットシステム(マルチマップを流用した簡易ミッション)

しかし、実際にこのオープンコンバットシステムを体験してみると、あまりの酷さに驚かされました。蓋を開けて現れたのは、マルチマップにAIを配置しただけのお粗末なミッションだったのです。『Warzone』バトルロワイヤルのマップから切り貼りしただけの簡易的なマップに、AI兵士やアイテムがあるだけ。一部ステージは新規なのですが、規模が狭いので全然オープンじゃありません。もちろん、映画的演出など一切なく、マップ内の目標をこなしたらクリアというあっさり具合。

完全にバトロワ気分

ドンパチやステルスが選択できる点、マップ内に隠された銃器やアイテムを入手していく点は確かに自由度がありますが、あくまでオプションといったところ。そもそもステルスをするメリットがほぼないので、その選択肢も死んでいるも同然です。武器を入手しても、あくまでそのステージ内で使いまわせるだけで、今までのキャンペーンとさほど変わりません。

偵察をして好きな位置から攻められるのは良いが…
結局ドンパチが楽という

肝心のゲームシステムもWarzoneやDMZといったマルチのものを流用しているだけです。つまり「オープンコンバットミッション」や「キャンペーン」などと声高く宣伝していますが、中身はただの毛の生えたスペシャルオプスか、マルチの予行演習モードといった感じです。

一応オープンコンバットミッション以外にも、従来通りの1本道スタイルのミッションも存在します。そちらにはかつてのCoDらしさは残っているとは思います。しかし、ミッション数自体が少ない上に、映画的演出やリアリティ描写もほぼありません。ただの1本道でドンパチをするだけか、銃を撃たずに進めるADVパートの2つが用意されているだけです。

狭いステージではタクティカルスタンスが大活躍

オープンコンバットミッションも1本道スタイルのミッションのどちらもつまらないので救いがありません。しかし、「高層建築」のオープンコンバットミッションはとても楽しめました。狭い通路が続くマンション内でスピード感のある接近戦を行いながら、最上階を目指していくステージとなっていて、複数のルート選択もあるため戦闘の自由度を感じることが出来ます。映画の主人公になった気分でショットガンをぶっ放しながら突き進むという戦闘テンポは、CoDの快適な操作感も相まって爽快感抜群のステージです。他のオープンコンバットミッションはバトロワマップに配置されたAIと戦うだけですが、このステージは立体的な専用のマップと接近戦を主体としたCQC戦が体感できる名ステージだと思いました。

逃げ惑う民間人を撃たないように敵と戦うステージも
車で轢き殺す。DMZで習いました。
ミニガンを拾えばドンパチし放題
ガンシップでの援護射撃はMWシリーズの恒例行事感ある

CoDのキャンペーンと名乗るには相応しくない作品。肝心の「オープンコンバットミッション」も、マルチのマップやシステムを流用しただけの粗悪品です。物語に関してはあまり深く述べられる自信がないのですが、終わりをきちんと描かずにマルチや今後の作品に投げ出している辺りは雑だと感じました。

銃撃戦は多いし、そこはめちゃくちゃ面白い

全体を通して雑な作りが目立つ本作ですが、実は元々『Call of Duty: Modern Warfare Ⅱ』の拡張として開発されていたから、というのが私の考察です。本作がリークされた時「2023年のCoDは2022年のMWⅡの大型拡張になる」という内容の記述が散見されました。実際、MWⅢのマルチマップは『Call of Duty: Modern Warfare 2 (2009)』のものが全て流用されていたり、操作感や武器の種類もほぼ変わらなかったりと、新作としてはあまりにお粗末な出来です。けれど、これらが全てMWⅡの大型拡張であったと見れば、納得のできるものではありますが。

著者一言:MWⅢはPvEのゾンビモード「MWZ」に期待。

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