苦痛のフルコンボ『Boiling Point: Road to Hell』のプレイ感想(未クリア)。

FPS

ゲーム性は完璧に好みだが、アクセシビリティが絶望的。『Boiling Point: Road to Hell』はそんなビデオゲームです。本作は2005年に登場した南米の架空国家が舞台となるオープンワールドFPSで、『S.T.A.L.K.E.R.』や『Far Cry 2』のようなハードコアな作品となっています。ジャングルが舞台でM16が出てきてハードコアなゲーム性…。私のアンテナが反応しないはずがありません。

しかし、大きな期待は開始数時間で大きな絶望へと変貌しました。まずこのゲーム、日本語に対応していません。「ま、FPSなんて銃撃つだけで進むから英語読めなくてもいいか~」なんて甘い考えはこのゲームでは一切通用しません。本作はFPSと定義するより主観視点を用いたRPGという方が正しく、テキトーに銃を撃っているだけでは何も解決しないのです。

このゲームはテキストの位置が固定なので翻訳はやりやすい

加えて本作はテキストを読んで会話を選択していくパートがメインを占めるため、英文が苦手なプレイヤーにとっては死ぬほど苦痛です。私の場合、巷で話題になったPCOTを導入したり、スマホのカメラでリアルタイム翻訳することで、会話の8割方は理解することができました。しかし、とにかく会話量が多いため、途中からは面倒くささが勝ってしまいました。

また、ゲーム性は『Far Cry2』を超えるハードコアさです。睡眠ゲージや健康度合い、車のガソリンと耐久値、勢力間の友好度など、管理する事柄や覚えることがとにかく多いです。また、戦闘は難しく、銃は序盤の『S.T.A.L.K.E.R.』並みに当たりません。かといってAIが賢いわけでもないので、ただ単にストレスの溜まる戦闘だった気がします。

AIの動きは怪しいが、M16がカッコイイのでOK
アイテム管理するの大好き

また、武器やお金等の物資がないからといって、敵の落とした銃を拾うのは厳禁です。拾った銃の大半は2回に1回という超高確率で弾が発射されず、ほぼ使い物にならず非常にフラストレーションがたまります。「じゃあ敵はどうやって銃を撃っているんだよ!」という行き場のない怒りの前には、『Far Cry 2』のジャムシステムがいかにヌルいものだったかということが痛感できます。そうやってアタフタしているうちに蜂の巣にされ、『Boiling Point: Road to Hell』というハードコアゲーの洗礼を味わうのです。

「あたれ~」って念じながら撃ってました
『Far Cry 2』のドライブを思い出す

とはいえ、このへんのシステム面は慣れてしまえば意外と楽しめそうだと私は感じました。こういったゲームは序盤がキツイだけで、システムを理解し始めると途端に楽しくなるといった経験は数多くあるからです。しかし、本作はそんな希望すら打ち砕くほどの理不尽なバグがプレイヤーに押し寄せます。最初は車が地面に埋まるといったカワイイものでしたが、セーブデータが消える、設定画面でフリーズする等々、プレイするには致命的なものが目立ちます。

プレイしていて不快になる要素多数

開始数時間にして、ゲーム全体のなんともいえないチープさやオールイングリッシュといった要素が、私の心をズタズタにします。「もう疲れた…。」燃料補給のやり方が一向に分からず、ガスステーションで唖然と立ち尽くす。武器も弾薬も燃料もなく、車は廃車寸前。何度修理工のおっさんに話しかけても、「Go Ahead.」の一点張り。おい、俺は修理と燃料補給がしたいって言っているんだ、俺の言葉が分からないのか??

マイナーすぎてネットにも攻略がない地獄さ

そうだ、ここは言語も全く通じない異国の地、周りを歩けばジャガーやヘビ、マフィアに襲われる野生の王国。

「クソ、これからどうすればいいんだ…。」完全お手上げのゲームオーバーだと思った矢先、一機のヘリがこちらへ向かってくる。

「こちらガンスリンガーより司令部、セクター アルファ・ワン・ブラボー・ゼロのガスステーションに武装した人物を1人確認、こりゃぁかなり怪しい。」

「こちら司令部よりガンスリンガー、やっちまえ!!」

??!????!!

無線が聴こえたと同時に、ヘリから雨のような機銃掃射がガスステーションに降り注ぐ。一目散に近くの荷車へ身を隠すが、目の前には火だるまになって跡形もなくなった車の残骸だけが残っていた。

俺の唯一の愛車にして睡眠場所が…。
テメーだけは許さねぇぇぇーーーー!!!!!!

そして私は空のヘリに向かってM16の弾をありったけ撃ち込み、その後ゲームのExitボタンを押した。「まったく酷い場所に来ちまったもんだ…。」その日、私の心にはじんわりと滲むような後味の悪さだけが残り続けるのだった。

著者一言:急に寒い

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