野生オーストラリアFPS『Straya』のプレイ感想。

FPS

アフリカが舞台のFPS『Far Cry 2』はやや癖があるものの、妙にリアルな現地の空気感を感じることができる作品です。チェルノブイリが舞台の『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl』も東欧地域のさびた空気がひしひしと肌に伝わってくるような感覚があります。両者に共通するのは、雰囲気が作り込まれたマップ内を探索していくスタイルのFPSといったところでしょうか。俗にいう”雰囲気ゲー”ってやつです。

『Straya』のSteamレビューページには「これはオーストラリアを舞台にしたS.T.A.L.K.E.R.&Far Cry 2だ」というレビューがあります。あとカンガルーとも戦えるそうです。そんな言われ方をして心をくすぐられないゲーマーはいません。ちょうど本作の正式リリースのタイミングが被ったこともあり、早速私は1960年代のオーストラリアへと足を踏み入れることに…。

ゲームが始まって数秒でヤギにドつかれました。やけに凶暴なヤギもいるもんだと思ったのもつかの間、カンガルー、コアラ、ハエ、ネズミ、ヘビなどありとあらゆる野生動物がプレイヤーに襲い掛かります。動物に襲われるのは『Far Cry』シリーズで慣れたものだと思っていたのですが、本作の動物の殺意はとにかく比べ物になりません。視界に入ったら全速力でおそいかかってきます。

動物の襲撃は止むことを知らず、どこにいても何かしらの動物が殺しに来るのです。撃っても撃っても動物が突撃してくるもんですから、序盤は弾切れのところを囲まれてタコ殴りにされることが日常茶飯事です。ちなみに敵は動物だけで人間は出てきません。つまり、本作最大の敵は野生動物、自然が驚異なのです。また、現地人が崇めている動物(鳥・ヘビ・トカゲ等)を殺しすぎると一定時間呪われて大蛇が出てくるという謎演出もあります。ホント主人公はオーストラリアの大地に出禁でも食らったのかよってレベルの嫌われようです。

本作は序盤のパブにあるおっさんからタスクを受けることでゲームが進行します。依頼は「○○を何匹殺せ」「~~へ行け」など要するにお使いです。この辺の進行の仕方はFar Cry 2やS.T.A.L.K.E.R.っぽいです。マップはそこそこ広いのですが、馬・車・ヘリが用意されているため一応は安心です。しかし、馬は爬虫類を見ると逃げ出し、車はバグって動かなくなり、ヘリは燃費が悪いため、ほとんど使い物になりません。

「ならば徒歩で行けばいいじゃん!」と思ったミリタリーシムに頭を焼かれたそこのあなた!残念ながらそれは賢い選択とはいえません。先ほども述べた通りこのオーストラリアは危険な野生動物でいっぱいです。安易に徒歩で移動なんかしてしまえば、一瞬で野生動物に囲まれて渾身のカンガルーキックを食らって絶命するのがオチでしょう。

そのため本作は基本ファストトラベルと車・ボートの組み合わせで移動するのがベターな選択です。ファストトラベルはお金がかかりますが、基本マップの多くの範囲を一瞬でなおかつ安全に移動できます。もちろんファストトラベルだけでは目的地の座標に正確に移動することは出来ないので、そこは車やボートを使います。乗り物に乗っている間は野生動物が攻撃を仕掛けてこないので、比較的安全に移動が出来ます。(よく横転はするけど)

ファストトラベル+車で最短距離を移動するというゲームプレイは、Far Cry 2の移動方法を彷彿とさせます。アフリカはアフリカで検問所や執拗に追いかけてくるテクニカル等非常に厄介でうざい脅威が多いですからね。本作はそんなFar Cry2 のある意味面倒な要素を継いでいるといえます。おちおちマップ探索なんかしてる暇を与えてはくれないのです。

グラフィックを始めとした全体的なゲームの見た目はSteamにゴロゴロ転がるチープ系FPSよりは比較的マシな方です。それこそFar Cry 2やS.T.A.L.K.E.R.なんかを期待していたら肩透かしを食らうでしょうが。私も最初は若干のチープさにビビっていましたが、マップを歩いていれば乾いたオーストラリアの空気感を感じることが出来る瞬間がくるはずです。それこそ眩しいくらいの太陽が差し込む美しい景色は、Far Cry 2のアフリカにいた時を思い出させます。

マップは若干のコピペ感は否めませんが、ジャングルや沼地、地球のおへそことエアーズロック(?!)なんかも存在します。あとクリア後に気づいたんですが、マップの形がまんまオーストラリアです(笑)。

ゲームプレイはFar Cry 2であった移動のリスク管理や、S.T.A.L.K.E.R.のようなアイテム管理などがあって、割とゲームらしい作りになっています。基本的にはタスクをクリア→弾薬とアイテムを補充→タスクをクリア→お金が溜まったら装備品のグレードアップ、的な感じを繰り返すというRPGっぽさがあります。

また、ミニゲームや動物を狩ることで金策が可能となっています。しかし、ミニゲームはどれもイマイチ遊び方が掴めないものが多かったので、私は基本動物を狩っていました。この動物狩りは危険なエリアにいる動物ほど報酬が高いため、ハイリスクハイリターンなゲームプレイが楽しめます。とはいえマップの移動が面倒くさいことや、序盤のパブの周りにいるヤギとカンガルーをひたすら撃ち殺すだけでも十分金策が可能なことから、ほとんど危険エリアに行くことはなかったです(笑)。

あと序盤は割と真面目なゲームだと思っていたのですが、中盤から終盤にかけては伝説上の生き物やエイリアンなども出てくるという、もう何でもアリな展開がプレイヤーを待っています。ここはインディーらしいおバカさと捉えるべきでしょう。いや、そもそもありとあらゆる動物が全力で殺しに来る時点で十分バカゲーだったのか…。

オーストラリアの野性味あふれる空気感(?)を感じながらFar Cry 2やS.T.A.L.K.E.R.っぽいゲームプレイが楽しめるFPS。登場する敵の全てが野生動物という点が非常にユニークで楽しめました。インディー特有のチープさやおバカさはあるものの、ゲームプレイに大きな支障はありません。オーストラリアでカンガルーを撃ち殺したい人にはおススメのFPSです。

著者一言:サブスクの危険性に気づく

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