カワイイだけじゃない『Onirism』のプレイ感想。

FPS

2年ほど前にFPSゲームの制作に挑戦したことがあります。FPSは大好きなジャンルですが、どれもこれも似たような作風の再生産にしか感じず、「ならば自分で作ってみよう!」と一念発起したのです。細かな3Dモデリングや複雑なグラフィックを必要とせず、簡単なイラストで作れるスプライト表示のFPS、それでいてアニメやコミックのような可愛らしいポップなデザイン。最初はノリノリで制作していたのですが、段々と作業工程が複雑になってきてからは、何をやったらいいのかが分からなくなってしまいました。結果として銃が撃てるところまでは作ったのですが、そこから先を作ることはありませんでした…….。

このゲーム制作に挫折した話は色々と反省点が多いので、また別の機会に書くことにします。

さて、過去の苦い思い出は置いといて、前から気になっていた『Onirism』を現状進められるところまでクリアしました。本作はシューターと3Dプラットフォーマー、そしてカワイイ世界観が合わさった奇跡のような作品です。まさに私が作りたかった、遊びたかったFPS(厳密にはFPSではない)に非常に近い作品で、もう熱中しちゃいました。

圧倒的な彩度の高さがポップで癒される…!(画像はアーケードモードのステージ)

本作最大の魅力はその世界観。可愛らしいファンタジーな世界がポップなグラフィックで描かれ、登場するキャラクターも全てがカワイイのです。マップも多彩でもう視覚情報だけでも楽しい。いい意味でシューターらしくない世界観で、非常に新鮮です。

陸空乱れる大規模戦

そしてただカワイイだけじゃない点が、本作の魅力をグッと引き上げています。最初こそ絵に描いたようなファンタジー世界が広がりますが、物語を進めるとFPS定番の舞台(地獄、工場、大規模な戦場)の数々が登場します。カワイイ雰囲気は維持しつつも、FPSお決まりのステージやシチュエーションはしっかりと用意されているというこのギャップがたまらないですね。

Doomっぽい作風には胃もたれしてしまう

また、本作はシューター作品を始め、様々なゲームや映画のオマージュが大量にあります。某シリアスなFPSをはじめ、シューターファンなら思わずクスっとしてしまう場面や武器、衣装がたくさんあるため、それらを探しているだけでも楽しめちゃいます。

砂丘の上から何かが走ってくる…!
???「デジャヴ?!」

プレイしていて何よりビックリしたのは登場する武器や衣装の多さ。本作は早期アクセスにも関わらず、大量の武器と衣装が実装されています。おそらくゲームを一周遊ぶだけでは全て扱えないほどあります。それでいて一つ一つの性能や見た目が違うのだからすごい。

完全にHalo
完全にニードラー

また、通常のFPSと違って、TPSが主軸となっているため、しっかりと衣装を着用したキャロルを堪能することができますよ。個人的に着せ替え人形のような遊びは大好きなので、今作のようにしっかりと衣装に力を入れてくれているのは最高に嬉しい仕様ですね。

どんなゲームでも服装にはこだわっちゃう♪

肝心のゲームプレイ部分も非常に優れています。3Dプラットフォーマーとシューターの組み合わせは違和感が全くありません。移動と戦闘の切り替わりもスムーズで、普通のシューターゲームとなんら遜色ありません。むしろ戦闘は『Serious Sam』やリブート版『Doom』の系譜を感じるくらい激しめです(戦闘Doomよりの雰囲気Serious Samって感じ?)。特にアリーナ形式の立体的なマップを縦横無尽に動き回り、弾薬や回復アイテムを集めながら敵に肉薄するプレイ感覚が全く同じです。

TPSモードがデフォルトだが、設定でFPSモードに変更可能
M60があるゲームは神ゲー

正直なところ、本作に戦闘のクオリティはあまり求めていませんでした。しかし、今回ばかりは自分の間違いだったようです。むしろアリーナFPSに慣れているプレイヤーにこそ遊んでもらいたい。カワイイ雰囲気からは想像もできない激しい戦闘が体感できるはずです。

また、操作感も非常に洗練されています。基本動作はもちろん、スライディングや二段ジャンプ、飛び込み動作まできちんと作り込まれており、これらを組み合わせることでかなりスピーディーに気持ちよく操作できます。

良いジャングルですね

しかし、早期アクセスということで、いくつか不満点もありました。1つはナビゲーションの不親切さ。このゲームは箱庭型のステージを攻略して進めていくスタイルなのですが、マップやナビゲーションといった類のものが一切なく、カットシーンや会話を通してしか説明されません。それも分かりづらいものが多く、かなり迷ってしまうことが多かったです。

また、チェックポイントが少ない点も気になりました。本作は3Dプラットフォームでもあるので、結構落下死することがあります。しかし、落下したら即ゲームオーバーで、最後のセーブポイントからやり直しとなってしまいます。本作では任意のタイミングでの手動セーブがなく、マップ間を移動した際のオートセーブと、セーブポイントでのセーブしかありません。そのセーブポイントも頻繁にあるわけではないので、マップ探索時に死亡したときは、結構前に戻されてストレスに感じる場面がいくつかありました。

チェックポイントは気持ち多めがいい

ただカワイイだけじゃないFPS。蓋を開けてみるとそこには圧倒的なボリュームと歯ごたえのあるゲームプレイが待っています。普通のFPS に飽きた方には自信を持っておススメしたい作品です。自分の「こんなFPSが遊びたかった」を叶えてくれた、個人的にはとても気に入った作品でした。

「Work in Progress」の看板。制作お疲れ様です。

著者一言:戦闘が盛り上がっている時に限って無線マウスの接続が切れる。

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