”洋ゲー”と聞いた時、皆さんはどんなビデオゲームを思い浮かべるでしょうか。オープンワールドで好き放題暴れ回れる『Grand Theft Auto』、それとも近年話題になったFPS『Apex Legends』でしょうか。人によって思い浮かべるビデオゲームは異なると思いますが、筋骨隆々のたくましいキャラクターが登場したり、血みどろのゴア表現が存在するなど”ゴツくて過激な”イメージは全ゲーマーの共通認識でしょう。え、あとはキャラクターがブサイクだって?
かく言う私もこのようなブログを執筆するほど大の洋ゲー好きですが、”洋ゲー”と聞いたら真っ先に浮かぶゲームが1つあります。それはXbox360で発売された不朽の名作TPS『Gears of War』です。ゴツいキャラクターから激しいゴア表現など、何から何まで洋ゲーらしさ全開のゲームとなっています。それにチェーンソー付きのアサルトライフルが登場しちゃうなんて聞いたら、誰がどう見ても洋ゲーだと納得するに違いありません。
今回はそんな”THE洋ゲー”こと『Gears of War』のクリア感想を書いていきたいと思います。
カバーアクションが評価された
『Gears of War』は2006年(日本だと2007年)にXbox360で発売されたTPSゲーム。販売はMicrosoft、開発はEpic Gamesが担当しています。ゲーム内容は架空の惑星に住む人類が地底人との戦争を繰り広げるといったもので、当時ではまだ珍しかったカバーアクションを世に知らしめたビデオゲームとして有名です。
Metascoreでは94点という高評価を獲得した本作は、カバーアクションを利用した高クオリティなゲームプレイと唯一無二の世界観で世のハードコアゲーマーを唸らせました。今では『Halo』シリーズと並びXboxブランドを代表するビデオゲームとなっています。
ちなみに本作を開発したEpic Gamesは、ゲームエンジン”Unreal Engine”で有名ですよね。これは同スタジオが開発したFPS『Unreal』を元に制作されたゲームエンジンで、『Gears of War』では当時最新だった“Unreal Engine 3”が初めて使用されたゲームとしても知られています。私の好きな『RisingStorm2: Vietnam』でもUnreal Engine 3が使用されているので何だか感慨深いですね。
洋ゲーらしいデザイン
物語の舞台となるのは、人間同士の戦争に満ちた惑星セラ。惑星特有の資源イミュリシオンを巡り対立していた人類ですが、突如として地底から現れた謎の侵略者”ローカスト”の攻撃により、人類は総人口の1/4を失ってしまいます。新たな敵を前に人類は統一連合政府”COG”の名のもとに団結し、14年という長期に渡り戦争を耐え抜いていました。そんな中、かつて英雄と称された囚人、マーカス・フェニックスが戦いに復帰することに……。と、大まかなストーリーはこんなものです。
ストーリーはもちろん、本作は人類vs地底人というSF戦争感たっぷりの世界観が素敵です。さらに登場するキャラクターは敵味方含めたほとんどがゴリラのような体格で、男でも惚れちゃうようなマッチョマンばかり。兵器のデザインも非常にゴツく、チェーンソー付きのアサルトライフル”ランサー”は洋ゲー界隈では伝説となっています。
ゴツい銃を持ったマッチョマンたちが繰り広げる血みどろの戦いは、まさに日本人が思う洋ゲーそのもの。ゲームプレイはもちろん、圧倒的に海外らしいド迫力な世界観が大きな魅力の1つですね。
シューターの基本に忠実なゲームプレイ
カバーアクションを駆使した”らしい”銃撃戦を楽しめる
シューターゲームというジャンル自体は相当前から確立されており、移動・射撃・回避の要素で成り立っていることが特徴です。古くは『Doom』でファーストパーソン・シューター”FPS”の基礎が作られ、2000年代ではDoomのスタイルを踏襲した様々なシューターゲームが世に送り出されてきました。しかし、それらのゲームで繰り広げる銃撃戦は現実のものとは全く異なり、ジャンプやスライドを多用しまくった超人大会が繰り広げられていることがシューター界での実情でした。
そんな無意味に飛び跳ねる動作に疑問を感じたEpic Gamesスタッフが目を付けたのが”カバーアクション”。このアクションはペイントボールを用いたサバイバルゲームをプレイした際に、「どのようにしたら遮蔽物に隠れながら行う銃撃戦をクールに演出できるだろうか?」と考え始めたことがキッカケだそうです。こうしてギアーズのカバーアクションが生まれたんですね。
このカバーアクションの導入により、良い意味でゲームらしさがなくなったと感じました。これまでのウサギのように撥ねるシューターゲームと比べ、遮蔽物を利用した銃撃戦はゲームの硬派さをより引き立て、いかにもなシューターゲームを演出してくれています。
アクションも非常にスムーズで、カバー間の移動や乗り越え、ダッシュなどを直感的に行うことが出来ます。こうした細かい部分がより銃撃戦を引き立てているように感じました。
ゲームプレイ時の戦闘も世界観に負けない硬派さを感じることが出来ます。敵キャラクターは体力が高めに設定されているため、しっかりと狙いを定めて弾丸を撃ち込まないと倒すことが出来ないあたりは、対戦シューターのような感覚です。敵もプレイヤーと同等の動きをしてくるため、ただのやられ役ではない対戦相手としての機能を十分に果たしていましたね。よくある一本道シューターで登場するようなワザとっぽい演技をせず、まるでオンラインシューターの高難易度Bot相手に戦っているような感覚でした。
ただよくも悪くもBotっぽく、銃で撃たれてもノックバックせず突っ込んでくるなど、理不尽さも多少あるため、あまり敵の動きにリアリティは感じませんでした。
多少の荒もあるけれど
ゲームをプレイしていて気になった点をいくつかピックアップしました。
あまり活躍をしないAIの仲間たち(Coop前提のつくり)
本作ではゲーム全編を通して味方AIが共に行動してくれます。しかし、このAIが少しポンコツで、すぐ敵に突っ込む挙句全滅してしまうのが少し残念でした。一応味方AIには集合や射撃中止等のコマンドがあるのですが、集合をかけても「そっちには行けねぇ!」と言われてしまう始末。銃座に着くシーンでは味方AIが棒立ちしてしまうなどといった問題もありました。
ギアーズにはCoopプレイがあり、一部ステージではキャラクターごとに道の分岐があることからも、開発者的には協力プレイで遊んでほしかったのでしょう。とはいえ某有名駄作『Daikatana 大刀』と比べ、AIのスタックもなく最後まですんなりプレイ出来たのはせめてもの救いでした。
カバーアクションが故の単調さ、弱点
カバーアクションゲームの特性上仕方ないのかもしれませんが、全体的に一本道が多く、回り込むルートもそこまで多くなかったことが残念でした。特に高難易度だと回り込むことはリスキーなので、初期ポジションからのチマチマ銃撃でほとんど応戦可能というヌルさ加減が目立ってしまっていましたね。またゲーム全篇を通してステージの景色が大きく変わることがないため、ゲームの単調さもあいまって少し退屈ではありました。
もう1つはカバーアクションならではの弱点。カバーアクションを重視したゲームプレイにも関わらず、ショットガンを装備した敵が突っ込んできて即死というシチュエーションが多かったのも調整ミスかなと感じました。マルチプレイではナッシャー(ショットガン)+前転やカバー時の加速を利用した高速アクションプレイがメタになるなど、開発者が想定しなかった戦い方が流行ることからはカバーアクションの弱点が垣間見えるようでした……。
まとめ:今なお色褪せない濃密な世界観と銃撃戦を体験できる
代わり映えしないステージやアクション等の単調さは感じるものの、血と硝煙が似合う硬派な世界観とシューティングゲーム界に新たな旋風を巻き起こしたカバーアクションは今もなお色褪せていません。海外っぽいデザインが好きな方、カバーを使った銃撃戦を楽しみたい方、Xbox所持者はマストプレイです。
著者一言:ギアーズはCOGの兵士のデザインがカッコよすぎる。NECAのCOG Soldierフィギュアとカーマインのマグカップ欲しい~。
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