1998年は『Half-Life』や『Shogo: Mobile Armor Division』などアドベンチャー要素を含んだFPSが多く登場し始めた年です。今では『Half-Life』の功績がすっかり有名となっていますが、私が今回プレイした『SiN』も同年に出たゲームには負けないクオリティだと思います。
バラエティに富んだ進行
『SiN』はそれまでのFPSの常識を打ち破るようなユニークなゲーム進行が最大の魅力です。同じような景色やゲームプレイが続くのではなく、ストーリーの進行に合わせてどんどん変わっていきます。
本作は撃ちまくり系のFPSが多かった時代では珍しいステルスパートが存在します。サプレッサーを付けた銃を使って敵を倒し、監視カメラを避けながら基地に潜入するゲームプレイは当時にしては革新的なシステムだったのではないでしょうか。他にもコンソールを使用したパズルや数々のギミックが存在し、プレイヤーを飽きさせないつくりになっている点には、今のFPSゲームにも引けを取らない面白さを感じました。
ユニークなステージの数々も魅力の1つです。同じような景色がずっと続くゲームではなく、怪しげな研究所や下水道、地下鉄など豊富に用意されています。特に感動したのは海中のステージです。1ステージ全てが海中で、海中に潜む敵と戦いながら深く潜っていくゲームプレイはかなりユニークな体験でした。また、全てのマップが1本道ではなく、複数のルートが用意されているところにも自由度を感じることが出来ましたね。
私は『Doom』や『Quake』等のFPSは好物なのですが、代わり映えしないステージの数々には正直うんざりする部分もあります。しかし、『SiN』はゲーム全体を通して視覚的な変化が多かったため、最後まで飽きることなく遊ぶことが出来ました。『Gears of War 2』の記事でも述べましたが、ステージのデザインを変えることは飽き防止のためには欠かせないものだと思います。
アリーナ系に引けを取らない激しい戦闘
戦闘部分もしっかり楽しむことが出来ました。使用エンジンがQuake II engine ということで、かなり『Quake2』に似た戦闘感覚だったと感じます。
プレイ序盤は火力が乏しく、レーザービーム軌道で発射されるサブマシンガンを中心とした中距離の戦闘が続きます。被弾を出来るだけ避けながらヘッドショットを狙っていくプレイはまんま『Soldier of Fortune』ですね。(SoFも使用エンジンはQuake II engine )
しかし、後半になってロケットランチャーやヘヴィーマシンガンを入手してからはゲームプレイがガラッと変わります。SoFのようなチマチマとした撃ち合いから一変、ロケットランチャーを撃ちまくるQuakeのようなアリーナ系へと変貌するのです。敵の人数や火力、耐久力も上がり、拡張パック『Wages of SiN』ではさらに素早い敵が多く出現するためかなり楽しめます。
個人的には『Quake2』と『Soldier of Fortune』を足して2で割ったプレイ感覚が本作だと思っています。
当時らしい要素も満載だが…
一方当時のFPSらしい雑な部分が残っているところも多々見受けられます。マウスの加速や滑るような動作、初見にはキツイステージ進行など様々ありますが、個人的に気になったのはアイテムの配置・ステルスパート・スナイパーの3つです。
まずアイテム配置ですが、全体的に少ないなと感じました。本作では倒した相手からアイテムをはぎ取れる仕様があり、それを考慮してマップ内に落ちているアイテムは少なかったのだと思います。しかし、回復系アイテムが落ちている箇所が少なく、ステージの開始位置にもないことが多いため、開始時点で詰んでしまいような箇所が何度もありました。また、全体的に武器の弾薬も少ないです。敵もピストル・サブマシンガンの弾くらいしか落とさないので、撃っていて楽しいヘヴィーマシンガンやショットガンを多く使えなかったのは少し残念でした。
ステルスパートの完成度もイマイチだと感じました。当時としては革新的だったことが分かるのですが、あまりに不親切だと感じてしまいます。どういった理由でバレたのかが分かりづらく、サプレッサーを付けた銃で敵を倒しても警報がなってしまうガバガバ具合です。プランBであるドンパチを行っても前後ろから敵が無限に出てくるだけで、難易度が理不尽に上がってしまいます。ゲームプレイの幅を広げているところが好感触ですが、全体としてみると中だるみしてしまう箇所でもあるのではないでしょうか。
本作一番の汚点は敵スナイパーの存在です。これがMoH:AA並みに強く、少しでも顔を出せば一瞬でゲームオーバーとなってしまうくらいです。例え慎重にプレイしてもあまりに命中精度とダメージが高いため、ただの理不尽な要素と化してしまっています。クイックセーブ連打+覚えゲー前提の調整は良くないです。
まとめ:Half-Lifeと比較したい
革新的な要素を多数盛り込み、ゲームプレイも非常に高水準な良作FPS。『SiN』がどれほど面白かったのかを考えるために『Half-Life』や『Quake2』などの当時のFPSを遊んで比較してみたいものです。
著者近況:お部屋をアメ雑屋さんみたいにするために改造を行ったが、なんかイマイチ上手くいかない。これは5~6万円する本物のネオンサインでも買わなきゃダメか……。
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