巨大昆虫型エイリアン”バグズ”との全面戦争を描いた伝説のSF戦争映画『Starship Troopers』。今まで観てきた映画の中でも3本の指に入るくらい好きな映画です。
今回紹介するのは同映画を原作としたCoop FPS『Starship Troopers: Extermination』。一通り遊んだという実感を得られたため、プレイした感想を書いていきます。
名作映画が16人COOPに
本作は2023年5月18日に早期アクセスが開始されたCoop FPS。開発はリアル系FPS『Squad』『Post Scriptum』で有名なOffworld Industriesです。1997年のSF映画『Starship Troopers』をビデオゲーム化した作品で、最大16人での協力プレイに対応しています。
16人協力プレイという点が本作最大の特徴といえるでしょう。協力型のゲームと言えば4人プレイが主流ですが、本作はその4倍の16人。多人数で協力をしながら、波のように押し寄せるバグズの群れを撃退していくゲームプレイとなっています。
ゲームモードは全部で3つあり、現在はそのうちの2つがプレイ可能です。1つはAASというモードで、ARCスキャナーと呼ばれる機械を防衛するモードです。2つ目はARCというモードで、ARCスキャナーの防衛からバグズの掃討、資源の獲得などを行うサンドボックス型のモードとなります。3つ目のHordeモードは現時点では未実装ですが、拠点防衛にフォーカスを当てたゲームモードとなるそうです。
私は本作を12時間ほどプレイしましたが、クイックマッチのほとんどはAASモードでした。ARSモードは2回ほどしかプレイ出来なかったため詳細は省きますが、ざっくりと2つのモードの詳細を説明します。
AASモードはリニアなゲームプレイが特徴的で、チーム全員で同じメインタスクを共有しながら進みます。序盤はエリアを掃討しながらマップを進み、拠点への到達を目指します。拠点に到達したらARCスキャナーが投下されます。これを動かすためには燃料が必要となり、燃料掘削機を防衛しながら獲得した燃料をARCスキャナーまで運びます。それと同時にARC周囲に防衛基地を建設する必要もあり、ORCという資源を消費することで壁やタレットの建設を行えます。燃料補給と防衛基地の建設が終了したらARCを起動し、制限時間までバグズからARCを守り抜きます。守り切ると脱出機が到着するので、無事搭乗すれば(脱出時に死亡しても)クリアとなります。
一方、ARCはサンドボックス寄りなゲームプレイです。ARCスキャナーを起動して脱出するという流れは同じですが、多種多様なタスクがマップの至るところに発生します。ARCの燃料・ORCを集める、バグズを掃討する、といったタスクが複数に発生するため、16人で手分けをしながらそれぞれのエリアでタスクを進める”分業”が重要となるゲームモードです。
AASモードはみんなで進軍していくお祭り感を味わえ、ARSモードはより複雑で戦略的なゲームプレイを楽しめます。ARSモードは戦略性の高さと作業分担が楽しいのですが、連携が上手くとれていないチームだとグダってしまうところがペースが悪いと感じました。とりあえずルーキーはAASをやっておけば間違いないと思います。
映画さながらの戦闘が楽しめる
波のように襲い来るバグズとの戦闘は本作一番の魅力でしょう。映画で観たあの戦闘をそのまま体験できます。原作映画内の大きな見どころである包囲戦もARCスキャナーの防衛という形で上手く再現されており、壁の上からMoritaライフルを撃ちまくる体験が可能です。特に壁が突破されて機動歩兵が蹂躙されていく様は、映画のような泥臭さと緊迫感が味わえて最高です。
一方、ミッション終盤のARCスキャナー防衛から脱出までの間はとにかくフレームレートが安定しません。なぜならバグズが出現しすぎるからです。圧巻のスケールで迫りくるバグズの群れは、映画にも負けない迫力があります。しかし、フレームレートが低いため操作がしづらくなってしまうのは少し残念でした。今回のプレイではRTX2080superを使用しましたが、終盤では60FPSも安定しませんでした。とはいえ本作は競技系のビデオゲームでもないため、慣れてしまえばゲームに大きな支障はないと思います。
操作感は非常にカジュアルです。開発元がリアル系FPS『Squad』を手掛けているという点から、リアル系特有のもっさりとした操作感にならないか心配でした。しかし、実際の操作感はかなり軽く、移動速度も速いので、FPSを遊んだことがある方なら違和感なく操作が可能です。
敵のバグズも様々な種類が存在し、現在は5種類のバグズが実装されています。とにかく数が多いウォーリアーバグから遠距離攻撃に特化したガンナーバグ、青いプラズマ砲が印象的なグレネーダーバグなど、様々な攻撃手段を有した敵が襲い掛かってきます。個人的にはガンナーバグが強すぎると感じました。目が合うと即着弾の攻撃を放ってくる厄介な相手で、回避する間もなく1秒以内にやられてしまうことが非常に多かったです。
また、本作は3つの兵科が存在します。ジェットパックを装備するハンター、重装歩兵バスティオン、回復と支援に特化したオペレーターの計3つが実装されています。それぞれ能力が異なりますが、武器は一部を除いて共通です。兵科ごとの人数制限もないため、自分のプレイスタイルに合った兵科で楽しむことが出来ます。今回のプレイでは一通りの兵科を試した末、ハンターをレベル13まで使用しました。
ハンターはバグズが登れない高所を取ることで、戦闘を有利に進められます。地上にいると一瞬でバグズの波に飲み込まれるため、基本的には高所に陣取って戦闘を行います。ジェットパックが使えるという点で他の兵科より生存率が高く、レベル11で入手可能なスナイパーライフルを使用することで安定してバグズと戦うことが出来ます。一方、ガンナーバグ以外の脅威が一切ないため、高所からひたすらバグズを撃つだけという単調なゲームプレイになりがちです。「バグズが1匹、バグズ2匹、バグズが101匹…」と段々眠くなってくるくらい退屈な時間を過ごすことになります。原作映画のような戦いを体験したい方はバスティオンやオペレーターを使った方が楽しめるでしょう。
革新的な分隊システム
本作のゲーム進行が非常にカジュアルなこともあり、複雑な連携を必要としないところが良いと感じました。『Squad』や『Hell Let Loose』のようなリアル系FPSは楽しいですが、VCやテキストチャットを使った分隊単位の連携プレイは正直面倒です。VCやチャットをOFFにしている私のようなプレイヤーだと、何をすればいいのかが分からず右往左往した挙句ゲームからキックされるということは日常茶飯事です。
しかし、本作ではタスクという形で目的が共有されるため、VCなしでも簡単に連携が取れます。分隊内のメンバーが「ARCのガスを確保する」タスクを選択すると、同じ分隊内にもそのタスクがリマインドされます。もちろん、分隊のメンバーが選択したタスクとは異なる選択をすることも可能です。マップを開くと今どのタスクにどれくらい人が集まっているかを見ることができるため、人の少ないタスクの応援にかけつけることもできます。タスクを選択せず、ひたすらバグズを倒したり、拠点を建設して味方の援護をするということもできます。このあたりは『Battlefield』シリーズのようなカジュアルさを感じます。「この拠点が手薄だから防衛しよう」、「味方がA拠点を確保しているから混ざろう」などVCやテキストチャットではなく、ゲーム内の目標を通して連携を促すシステムは非常にとっつきやすいです。
まとめ:今日から君も機動歩兵
映画の雰囲気を忠実に再現し、16人COOPという形に上手く落とし込んだFPS。機動歩兵になりきれるという点から原作映画のファンはマストプレイです。お祭り感が非常に高いので、対戦が苦手な方や野良で混ざりたいという方にも強くお勧めできます。一方、早期アクセスという理由から、コンテンツの少なさは感じざるを得ません。今後はアップデートの予定がたくさんあるそうなので、少しでも気になったらプレイしてみるのも全然ありでしょう。私は早くマローダーに搭乗したいです。
著者一言:『Roughnecks: Starship Troopers Chronicles』に登場したジャングルの惑星で戦いたい。
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