本作はレトロ系FPS『Dusk』を生み出したクリエイターの最新作。短編ホラーゲーム集『Dread X Collection 2』に収録されていた作品だそうです。狩猟ゲームのようなゲームプレイとレトロなグラフィックが特徴で、「神が来る」までの5日間、リスを仕留めることでゲームが進行していきます。
ゲームは主人公の自室で始まるのですが、開始早々に部屋の壁に皮が剥がれてぐちゃぐちゃになった死体が張り付けられています。どうやらこれは主人公の”妻”だそうで、この死体にリスをホッチキス止めして綺麗にしようと画策しているようです。一体主人公はどういう神経をしているんだ……。
てなわけで家の外に出るとリス狩りが始まります。リスは森の至るところに生息しており、足音や鳴き声を頼りに、ライフル銃で仕留めていきます。本作には足音ゲージが存在するため、リスが近くにいる際は足音をたてずゆっくり近づかなければなりません。弾薬も5発しか携帯できず、補充をするにはマップの各所に落ちている弾薬を拾う必要があります。
とはいえFPSに慣れている方ならリス狩りは簡単です。本作のリスは現実のものより大きめに設定されているため、遠くからでも普通に目視が可能です。リスの捜索方法も目視や足音を聞くといったくらいで、『theHunter』のようなリアル志向ではないのでご安心を。私はRS2Vのジャングルでずっとモシン・ナガンを撃っていたので余裕だぜ!って感じでした。
しかし、人っ子一人いない森をゆっくり歩いていくというのは、どこか寂しくもあり、同時に得体のしれない恐怖を感じさせます。リスの鳴き声を聞き分けるために耳を澄ませば、風の音や鳥の鳴き声が聞こえてきます。しかし、中にはなんとも形容しがたい不気味な音も聞こえてくるのです。単に環境音だったのか、それとも本当に”何か”いるのか。そんな妙に想像してしまう雰囲気づくりがよく出来ていました。
マップを探索していると、いくつかのテキストを入手して読むことが出来ます。リスの生態を綴ったものからゲームのTips、そして意味不明で不気味な芸術家の男の物語などがあります。これらは日数が経過するごとに続きが読めるようになっており、段々と内容も不気味さを増していきますよ……。
その日のリス狩りのノルマを達成することで、家に帰って翌日を迎えることができます。1日目は単にリス狩りだけで終わりましたが、2日目からは森の様子がだんだんとおかしくなっていって…。そして5日後に来る神とは一体…..?続きはご自身の目で確かめてください。
森の中で得体のしれない”何か”の恐怖を感じることができる良作。狩猟ゲームのじっくりとしたゲームペースとホラーの相性が抜群で、じわじわとした恐怖を体感したい方にはうってつけの変わり種ホラーです。
著者一言:ホラーゲームは極限の緊張感を手軽に味わえるから好き。
コメント